常任理事/未来創造室長 田邊 慎太郎
常任理事/未来創造室長 田邊 慎太郎
当室では、「現在を礎に次代に渡す橋を架けよう」をキャッチフレーズに未来の企業と未来の都市環境についてJC運動を推進して参りました。
未来の企業については、札幌の経済が十分に成長していない原因は、主に労働人口が減少傾向にあることがわかりました。少子高齢化が進展する中、この潮流を急激に変えることは困難でありますが、労働人口の減少を緩和していく方法として、女性の社会進出に着目しました。しかし、女性の社会進出にあたっても、育児や介護などの問題を抱えており、さらに、テレワークという手段について四月特別事業として提案しました。さらなる調査研究を進めていくと、企業として女性という一対象に特化したその環境を整えていくことは難しいことがわかりました。結果、私たちは、ダイバーシティ経営というより幅広い概念で労働環境を整え、さらに、それが企業の成長にも結び付いていくことを事例等によって検証しました。この検証を踏まえ、九月に例会として実施し、著名人なども交えたパネルディスカッションやプレゼンテーションによって市民に発信しました。これら一連の運動は、インターネットTVによって配信されています。
未来の都市環境については、少子高齢化の末、人口減少が予測されるもとで、札幌は私たちがこれからも住み続けていけるまちなのかどうかということを札幌市民に問うていくことが主題となりました。札幌で学んだ学生たちが札幌や北海道内ではなく、首都圏に労働の場を求めている現状を問題視し、学生たちが今後30年、50年と札幌に住んでいくために、どのような都市環境を望むのか考える場として検討会を実施しました。検討会には札幌市内10大学の学生が参画し、毎回40名ほどの学生が出席し盛況に行われました。この検討会での議論をもとに学生たちが1枚のパネルを作成し、そのコンペティションを実施しました。学生たちのアイデアは、規制や既得権といった枠を外したアイデアが出され、コンペティションでは、3校の学生たちが発表しましたが、自分たちのアイデアが市民に受けいられるのかという不安や未熟なプレゼンテーション技術などという課題を克服すべく努力を重ねていきました。コンペティションの上位3校には研修旅行として、高松市、大阪市、新千歳空港において研修を実施し、新しい知見を得ることができました。なお、この学生たちの研修費用については企業への運動発信により企業協賛をいただきました。協賛いただきました各企業に対し、ここに記し感謝の意を表します。
これら大きく2つの運動を展開してきた当室では、大きな問題点が浮き彫りになりました。
「札幌で生まれ、札幌で学び、札幌で働き、札幌で暮らし、札幌で終わることができるのか」
札幌は住みたいまち、観光に訪れたいまちなど、まちとしての魅力は他都市に比較して非常に高くなっています。また、札幌市民は、この札幌を愛し、ずっと住み続けることを願っています。少子高齢化は、徐々に企業の力を奪い、まちの活力が失われていきます。現実に、札幌市では生活保護費や医療費などの社会保障費が増加の一途を辿っており早急な解決が必要になっています。
札幌のような大きなまちでは、対処療法的な施策や事業でなければ、事業実施によって負の効用を与えてしまう可能性があります。しかし、いつの日か対処療法ではどうにもならなくなる日が近づいているのかもしれません。
市民一人ひとりが、札幌の経済のことを考え、札幌のまちのカタチを考えながら、自らの欲求や個人の合理性に流されない行動ができるようになることが、札幌が本当に成熟したまちへと成長した証になります。
本年度、当室が実施した運動は、札幌の2つの大きな課題である、企業と都市環境でしたが、どちらにも共通して言えることは、それらの変化を担っているのは、“人”であるということです。
私たち札幌青年会議所は、まちづくりの団体でありながらひとづくりが主体であると言われます。当室の運動を一年間先導してきた結果、その一端を垣間見たと思います。
当室の事業には、北海道、札幌市、北海道開発局といった行政機関のみなさま、北海道工業大学濱谷雅弘教授、札幌大学武者香苗准教授をはじめとした大学関係者のみなさま、そして学生たち、協賛企業のみなさまのご協力なしには進めることができませんでした。
全てのお名前を記載することはできませんが、関係各位への感謝の意をここに記します。
