スペシャルインタビュー

(一社)札幌JC中村理事長 × 三國清三氏

(一社)札幌JC中村理事長 × 三國清三氏

2016.12.22更新

中村理事長
まず、先日受賞された「レジオン・ドヌール勲章シュバリエ」受賞 誠におめでとうございます。受賞された感想と今後の目標等をお聞かせ下さい。
三國清三氏
この「レジオン・ドヌール勲章シュバリエ」は1800年代にフランスのナポレオン1世が作った勲章です。今現在、フランス内では最高位の勲章で大統領以外任命権がありません。日本で例えると、天皇陛下から直接賜るのと同じで、今から100年前にパリのホテルリッツのエスコフィエという方が料理人として初めてレジオン・ドヌール勲章シュバリエを与えられました。これにより、フランスでは料理人としての最高位にもなり、料理人の地位も確立されました。日本でも100年前、横浜のニューグランドホテルにスイスの料理人が就任して日本の西洋料理への学びが始まりました。そこで学んだ料理人達が後に、帝国ホテルやオークラホテルといったホテルの料理長になって行く図式で現在、初めて日本の料理人として授与されました。我々、洋食を料理する者にとってレジオン・ドヌール勲章シュバリエには大きな意味があり、長い歴史の中で日本の西洋料理がフランスの大統領によって、正式なフランス料理として認められたという事に意義があると思います。
中村理事長
大変意義のある賞を受賞されましたが、今後の展望や料理界の可能性はどのように開けて行くとお考えでしょうか?
三國清三氏
僕がここまで来れたのは16歳の時、札幌グランドホテルの洗い場に入り18歳の時、帝国ホテルの料理長の村上さんの存在を知ります。その時、北海道の若造が一流のホテルに行っても相手にされないと周りから言われましたが、自分の中の志としてグランドホテルよりも高い山があるなら登ってみようという気持ちで津軽海峡を渡りました。そして20歳の時、村上料理長から海外に行きなさいと言われ、スイスのジュネーブに派遣され、その際「10年は帰って来るな、10年後君たちの時代が必ず来るから、それまでしっかり本場の料理や技術を吸収してこれから来る時代に備えなさい」と言われました。当初、札幌から東京まで行く事自体が、宇宙に行くような感覚だった私にはヨーロッパに渡ろうという野心はありませんでした。しかし、村上料理長の言葉を胸に28歳の頃に帰国するまで、ヨーロッパにいました。そして、私が30歳の時に四谷でオテル・ドゥ・ミクニをオープンしました。その当時の日本はバブル経済の中で勢いに乗る事が出来ました。
中村理事長
今の話の中から、一度しかない人生の中で無難な道よりも敢えて多難な道を選び進まれた中で見える境地や先に見える景色の素晴らしさという部分を若者に対するメッセージとして教えて頂けますか?
三國清三氏
僕は勲章を頂いたり、2020年に開催される東京オリンピックの顧問を仰せつかる等をしていますが、Boys, be ambitiousの言葉の様に、青年は志高く、可能性を追いかけて怖がらずに色々な経験をしないと北海道の為にもならないですし自分の為にもならないと思います。北海道は自然も綺麗で食材も豊かにも関わらず、一歩前に出られないのはこれらが原因だと思うので、怖がらずに志を高くして欲しいです。
中村理事長
世界中、色々な所で活躍をされていますが、その目線から見た札幌における食の魅力がもしあれば教えて下さい。
三國清三氏
札幌の緯度はスイスやヨーロッパとほぼ同じでチーズや牛乳等の乳製品が美味しく、北海道の恵まれた環境や自然と食材の持っている力は世界に通用します。ただ、観光客が行きたい地域、そして二度と行きたくない地域ともに北海道がランクインするんです。理由は北海道の海や山の地域に行っても蟹や海老など同じ料理しか出てきません。なので、山や海など地域に見合った食材やバリエーションを作っておもてなしをする事が大事だと思います。札幌の素材はフランス料理に用いられるバターや牛乳、芋などがメインですからその美味しさは絶対に負けないです。ただ、それを活かす為には海や山等の素材を融合させて色々なバリエーションを見せれば魅力やポテンシャルにつながると思います。
中村理事長
先程、おもてなしというキーワードが出ましたが東京オリンピックを控え、顧問に就任され先日開催されたリオデジャネイロ五輪の選手村も視察されたと伺っていますが、そこで感じた日本とブラジルの食の視線の違いがあれば教えて下さい。
三國清三氏
ブラジルは四季を意識した料理のある国ではありませんが日本は和食が中心の健康的で多様な料理があるので4万人来ていたプレスの人達に遠き日本の良さを発信してもらう、北海道は東京等に比べて食糧自給率が200%を超えているので、そこを頑張って欲しいと思います。 来年の2月には冬季アジア大会もあるので、そこで最大限にアピールして札幌冬季オリンピックの招致に繋げて欲しいと思います。
中村理事長
三國シェフには北海道の食材や北海道の素晴らしさを顧問の立場から世界の皆様に伝えて頂けたら、私も北海道の一住民として大変うれしく思います。今後益々のご活躍をお祈りしています。本日は誠にありがとうございました。

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